01この処方の考え方
ベースの逍遙散は、ストレスで詰まった気(肝鬱)をほどく処方です。「逍遙」は気ままに歩くこと──張りつめたものが、ゆるんで動き出すイメージがそのまま名前になっています。
「加味」は、そこに牡丹皮と山梔子という冷ます生薬を2つ足したという意味です。詰まりが長引くと熱に変わる(イライラ・のぼせ・突然の汗)、という東洋医学の見立てに対応した設計です。
産婦人科診療ガイドライン(2023)は、更年期障害・月経困難症の項でこの処方を「考慮される」(グレードC)として挙げています。同時に、有害事象への注意はより強いグレードBで書かれています。両方をセットで知っておくのが、この処方との正しい付き合い方です。
02こんな状態に使われてきました
- イライラと落ち込みが交互にくる
- のぼせ・ほてり
- PMS・生理前の不調
- ため息が多い
結果ページで最も登場回数が多い処方です。肝鬱化火・気滞系の証、生理・更年期まわりの証で広く言及しています。
03気をつけること
- 山梔子を含みます。長期服用(多くは5年以上)で腸間膜静脈硬化症の報告があり、添付文書は長期投与時の定期検査(CT・大腸内視鏡等)を求めています。長く飲む場合は、処方元に経過を見てもらってください。
- 甘草も含みます。むくみ・血圧上昇・脱力が出たら中止して相談を。
- 繰り返す腹痛・下痢・便秘、便潜血の陽性が出たら、服用を続けず受診してください。
04どこで相談できるか
医療用(保険診療の医師の処方)と、一般用(薬局・ドラッグストア)があります。同じ処方名でも生薬の配合量が違うことがあり、選ぶプロセスも異なります。くわしくは Q&A の「漢方は、どこで相談できますか?」「市販の漢方と、病院の漢方は違うものですか?」へ。
- 産婦人科診療ガイドライン ─ 婦人科外来編2023
- 添付文書(重要な基本的注意・重大な副作用の項)
- 清水誠治「腸間膜静脈硬化症」日本大腸肛門病学会雑誌 74(10), 2021
このページは処方の解説であり、服用のすすめではありません。漢方薬は証(からだの状態)に合わせて選ぶ薬です。購入・服用の前に、医師・薬剤師・登録販売者にご相談ください。

