
東洋医学は、からだをひとつの循環として描きます。その循環を成り立たせているのが、気・血・水という3つの流れです。
「気が足りない」「血のめぐりが悪い」──聞き流してきた言い回しが、この講のあとは構造をもって読めるようになります。
エンジン・養い・潤い

からだを動かし、温め、外から守るはたらきの総称。目に見える物質ではなく、機能のまとまりに付けた名前です。エンジンにたとえられます。
全身を養い、潤す赤い流れ。西洋医学の血液と重なりますが、同じではありません。「養いを届けるはたらき」まで含んだ、少し広い言葉です。
血以外の正常な体液の総称(津液とも呼びます)。潤いと冷却を受け持ちます。汗・涙・唾液・関節の潤いまで含みます。
「足りない」と「滞る」
3つの流れは、それぞれ「量が足りない」か「流れが滞る」かの2通りに崩れます。この組み合わせが、そのまま証の語彙になっています。
右の列は「余分なものが停滞している」状態。手当ての向きが左(補う)と右(さばく・流す)で逆になります。
部位 × 気血水
結果ページに出てくる証名の多くは、この語彙の組み合わせです。たとえば心脾両虚は「心と脾の、気血が足りない」。肝鬱気滞は「肝の気が滞っている」。長い漢字の列も、部位+気血水+虚か滞りか、で分解すればほどけます。
流れと、それを動かす装置
気血水という「流れ」は、ひとりでに巡っているのではありません。次の講で扱う五臓という「はたらきの装置」が、つくり、動かしています。
脾が食べものから気血をつくり、肺が気を全身へ配り、心が血を送り出し、肝が流れの詰まりを防ぎ、腎が水をさばく──。流れの不調をたどると装置に行き着き、装置の不調は流れに表れる。この往復が、東洋医学の見立ての基本動作です。

スコア化の先例
気血水は古典のなかの言葉にとどまらず、日本の漢方診療で実際に使われてきた枠組みです。問診の所見を気・血・水ごとに点数化する方式も提案されており、当サイトの判定方式は、このスコア化の先例と同じ型に立っています。
※ この読みものは、東洋医学の考え方を学びとして紹介するものです。医療上の診断・治療ではありません。 気になる症状があるときは、まず医療機関にご相談ください。
