
東洋医学の話には、必ず「証」という言葉が出てきます。当サイトの結果ページも、65ページすべてがこの証で書かれています。
この講では、その一語を最初に片づけます。証が分かると、東洋医学の残り全部が読みやすくなります。
「どこが悪いか」と「どちらへ傾いているか」
病名は、「からだのどこが悪いのか」を突き止めて付ける名前です。検査で場所と原因を特定し、そこへ治療を当てる──西洋医学の強さは、この精密さにあります。
証はそれとは別の軸で、「いま、からだ全体がどちらへ傾いているか」というパターンに付けた名前です。熱がこもる方へ傾いているのか、冷えて足りない方へ傾いているのか。悪い場所ではなく、全体の傾きを読みます。
証で読むと、手当ての向きが変わる
同じ「不眠」でも、ほてって目がさえる人と、疲れ果てて眠る力が出ない人がいます。東洋医学はこの2人を別の証と見て、冷ます手当てと補う手当てに振り分けます。古典はこれを同病異治──同じ病でも治し方は異なる──と呼びました。
逆に、不眠と動悸という別の悩みが、同じ証にまとまることもあります(異病同治)。当サイトの結果ページで、違う症状のページに同じ処方やツボが登場するのは、この仕組みによります。

四つの窓(四診)
施術者や漢方医は、証を4つの窓から集めた手がかりで組み立てます。古典はこれを四診と呼びました。
※ 当サイトのセルフチェックができるのは、問診の一部と、舌の自己観察(望診の代用)までです。触れて確かめる窓の代わりはありません。結果が「参考」であり、施術者の見立てに代わらないのはこのためです。

望診ぼうしん
目で見る窓。顔色、姿勢、そして舌。舌は「からだの内側が見える窓」とされ、当サイトの質問に舌の項目があるのは、この望診の代用です。
聞診ぶんしん
耳と鼻の窓。声の力、呼吸の音、咳の質、においまでを手がかりにします。
問診もんしん
たずねる窓。睡眠・食欲・便通・冷えとのぼせ・生活のリズム。セルフチェックが借りているのは、主にこの窓です。
切診せっしん
触れる窓。手首の脈と、おなか(腹診)。とくに腹診は、日本の漢方が独自に発達させた診かたです。
「いまの状態」と「長い傾向」
証とよく混同されるのが「体質」です。ちがいは時間の幅。証は「今日の天気」のようにある時点の全体像を、体質は「その土地の気候」のように長い傾向を指します。WHOの国際分類も、この2つを同じ文書のなかで書き分けています。
※ 当サイトの結果は「いまのあなたの証」であって、体質診断ではありません。季節や生活が変われば、証も変わりえます。

WHO ICD-11 第26章
証は伝統医学のなかだけの言葉ではなくなりつつあります。WHOの国際疾病分類 ICD-11 の第26章には、伝統医学の証が 196件、公式のコード付きで収載されています。中国・日本・韓国の分類を国際的に調和させたものです。
ただし第26章は「任意で使える下位分類」であり、「WHOが効果を認めた」という意味ではありません。この距離感ごと知っておくのが、いちばん正確な理解です。
だから当サイトは断定しません
証の判定は、経験を積んだ専門家のあいだでも割れることが研究で示されています。当サイトが結果を「もっとも近い候補」として出し、ひとつの証に断定しない設計にしているのは、この限界を踏まえてのことです。
※ この読みものは、東洋医学の考え方を学びとして紹介するものです。医療上の診断・治療ではありません。 気になる症状があるときは、まず医療機関にご相談ください。
